この記事では、スーパーエコタウン見学で見えた「循環のリアル」を、次の順で整理します。
- 3施設(建設系/家電/産廃・医療)の入口(搬入物)→工程→出口(リサイクル物)
タケエイ(建設現場の廃棄物処理)
フューチャー・エコロジー(家電製品のリサイクル)
J&T環境(中間処理を終えた廃棄物の加熱処理) - 食品ロスや一般廃棄物量などのデータ
- 最後に、サーキュラーを自分ごとにするためのまとめ
サーキュラーエコノミー(循環型経済)という言葉は、ニュースや企業のサステナビリティ資料で頻繁に見かけるようになりました。今回は東京都が進めるスーパーエコタウンの見学会に参加し、ごみ処理の現場を見てきました。
現場では次のことを強く感じました。
- ごみ処理は「終点」ではなく、社会に戻すための分岐点。ただし、循環は自動では回らない。分別の質・危険物の混入・設計段階の工夫で、回る量も安全もコストも変わります。
スーパーエコタウン(東京都の循環の“集積地”)

今回訪れたスーパーエコタウンは、廃棄物処理・リサイクル施設が集積しているエリアで、見学会では複数の施設を連続して回ることで「入口→工程→出口」を一気通貫で見やすい構成になっていました。
いただいた資料では、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」の重要性が繰り返し説明されています。自治体のごみ行政の文脈でも、最終処分場の残りが課題であること、そして生活者の行動が循環に直結することが強調されていました。
ただ、ここで一つ確認しておきたいのは、“リサイクルさえすればOK”という理解だけでは不足だという点です。現場を見れば見るほど、循環の条件はシビアでした。たとえば、
- 危険物(バッテリー、ライター等)が混入すれば火災リスクが上がる
- 汚泥や不適物が混ざれば、再生原料の品質が落ちる
- 分解・選別の難易度が高い製品ほど、人手とコストが増える
- 「燃やしてエネルギー回収(サーマル)」は“循環”の中でも議論が分かれる
スーパーエコタウンの価値は、「循環っていいよね」という抽象論ではなく、循環が“現実として成立する条件”を可視化するところにあります。
3施設を通して見えてきた共通点は、循環の成否が「出口の技術」だけで決まるのではなく、入口の分別と危険物混入の有無(入力の質)で大きく左右されることでした。
株式会社タケエイ(建設系廃棄物)──循環を止めるのは“混ざり”と“危険物”

入口:解体現場からトラックで搬入

搬入されるのは、解体・建設由来の廃棄物。ゼネコン・ハウスメーカー由来が約70%という話もあり、現場にとってはBtoBの大きな動脈です。
扱うものは、廃石膏ボード、コンクリート、金属くず、紙くず、廃プラスチック、木くずなど多岐にわたります。
工程:計量→危険物チェック→機械選別+手選別

印象的だったのは、工程が「機械で自動化されている」だけではなく、人の目と手の役割が大きいことです。
- まず重量計測の段階で、危険物(バッテリー、ライター等)や汚泥がないかを確認
- ロールスクリーン等で土砂と選別
- 作業員の手選別
- 風力・振動などで追加の機械選別
“分別された状態で持ち込まれる比率が増えている”という話があった一方、現場の規模や条件次第では混合状態の搬入も多く、結局ここで「混ざり」をほどく労力が発生します。
出口:素材として社会へ戻す
出口は、循環の成果が最も分かりやすい部分でした。
- 廃石膏ボード → 石膏ボード原料
- コンクリート → 再生砕石・再生砂
- 金属くず → 鉄・非鉄
- 紙くず → 製紙原料
- 廃プラスチック → 再生プラ原料
- 木くず → 木チップ
さらに現場ならではの工夫として、これまでリサイクルが難しかったタイルカーペットの再生(繊維とゴムの粘着が強い問題への対応)や、粉じんを集めて製鉄用転炉の消泡材として活用する話もありました。ここは「循環は技術と工夫で拡張できる」好例でした。
現場の悩み:危険物混入は“循環”以前に“安全”を壊す

最も重い論点はここでした。近隣施設でリチウム電池混入による火災が起き、大きな事故につながったという話がありました。写真の一番奥の黒い建物は全焼してしまったそうです。
つまり、循環を語る前提として、安全が成立しないと施設自体が止まり、循環が止まる。
ここで問いが立ちます。
生活者として「分別」はしているつもりでも、小型充電池やライターの扱いは曖昧になりがちです。自治体資料でも、正しく排出されないと車両火災の原因になることが明記されています。
循環を回す一番の近道は、実は「すごい技術」より先に、危険物を混ぜない基本動作かもしれません。
株式会社フューチャー・エコロジー(家電製品)──“人の手”が循環のボトルネックでもあり、強みでもある

入口:家電(テレビ・エアコン・OA機器など)
フューチャー・エコロジーはエアコン室内機・室外機・ブラウン管テレビ・薄型テレビ・OA機器などの解体と分別を行っています。処理能力は、その日の持ち込み台数にも寄りますがテレビが1日300台、エアコンが1日180台程度とのことです。
家電リサイクルは、製品群としては身近なのに、工程はかなり専門的です。
通常リサイクルのする場合はメーカー毎にAグループ(パナソニック、東芝、JVC、コロナ、ダイキン)・Bグループ(日立、三菱、ソニー、シャープ、富士通ゼネラル)に分かれて専門の所定の場所に持ち込みます。
フューチャー・エコロジーではメーカーの枠を越えて受け入れ可能な点が特徴で、全国でも限られた施設という説明がありました。
工程:基本は人の手で解体
フューチャー・エコロジーでの家電製品の解体作業は全て人の手で行われます。職員さん50人のうち15人が海外の方だそうです。多くの種類の家電が集まるため、それぞれの解体方法を覚えていくのが大変だそう。また解体する部品の一部には水銀などの危険な物質が含まれている為慎重に作業を行います。
フロンの取り扱いにも非常に配慮しており保管室では温度管理とセンサーで漏れを防止されています。
出口:高いリサイクル率は“設計”と“分解”の掛け算
フューチャー・エコロジーの出口で印象的だったのは、高いリサイクル率が具体的な数値で示されていた点です。施設の説明では、エアコンは基準80%に対して97%、ブラウン管テレビは基準55%に対して75%、薄型テレビは基準74%に対して87%とされていました。
また、今話題になりやすいレアメタルについては、解体時に取り出される基板やモーター、コンプレッサーなどが次工程のリサイクル施設へ送られ、そこで金・銀・銅・パラジウムなどの分離が行われるという説明でした。フロンについても、漏えいが起きないよう作業場所や保管室に検知器を設置し、取り扱いを徹底しているとされていました。
さらに、この施設は「10年間無事故」を掲げており、そのための運用として、保護具の適切な使用、朝礼での自社・他社の事例共有、体調チェックなどを継続している点が紹介されました。こうした安全と学習の仕組みを整えることで、日々の解体・選別の工程を安定して回している様子が伝わってきました。
J&T環境株式会社(産業廃棄物・感染性医療廃棄物)──“燃やす”は敗北なのか、それとも現実解なのか

ここは見学の中でも特にインパクトが強い領域です。産業廃棄物と感染性医療廃棄物という、生活者から距離のあるものを、巨大な処理能力で受け持っています。
入口:産廃 550トン/日、感染性医療廃棄物 100トン/日

J&T環境株式会社では、中間処理が終わった産業廃棄物と、病院などから出る感染性医療廃棄物を受け入れて処理しています。処理能力は、産業廃棄物が550トン/日(東京都で出るごみの1/3)、感染性医療廃棄物が100トン/日となります。
産業廃棄物(ガス化→溶融→スラグ)

産業廃棄物は、まずガス化炉で処理され、ここで鉄(分別が進んだことで量は減っているがアルミも)を分別し、リサイクルに回します。
その後、溶融炉で溶かし、スラグ(道路など舗装材として活用)を生成します。生成したスラグは、道路や公園などの舗装材として活用されると説明されました。
感染性医療廃棄物(全自動×安全設計)

感染性医療廃棄物は、持ち込み後の工程が全自動で進む仕組みになっており、安全性を確保した運用が特徴とのことでした。処理にあたっては、バーチカル炉を使用し、紙おむつや脱脂綿など水分を含む廃棄物にも熱が均一に通るようにしていると説明されました。また、医療廃棄物が最終的に処理されたことを確認するマニフェストの発行まで対応できる仕組みがあるとのことです。
出口:サーマルリサイクル(電力)とマテリアルリサイクル(スラグ)

前述のスラグをマテリアルリサイクルとする他、舗装材などの資材として活用されると説明されました。サーマルリサイクル(発電)として廃棄物処理の際に発生する熱を活用して発電も行っています。電気は23,000kW(約7,700世帯分)。施設内で使用したうえで、余剰分は売電しているとのことでした。

また熱を再利用するが最初の点火や温度が下がってきたときに入れる燃料はリサイクル油を使っているとのことでした。
現場の課題
●最終的に埋め立てに回す質量を0にするには
持ち込まれた産業廃棄物を100%としたとき、現状では最終的に残る割合を2.5%まで低減できているが、将来的に0%に近づけたいという目標があります。そのためには、事前の分別(前段階での分別の徹底)が重要となります。
●専門的な人の手はなくせない
施設では旋回溶融炉という特殊な炉を使用しており、スラグがダクトに張り付くため、メンテナンスが大変だという課題があると仰っていました。安定稼働のために、予備部品を手元に常備にも注意しているとのことです。産業廃棄物用・医療用廃棄物用の焼却炉はそれぞれ2基ずつあり、常に稼働されています。中央操作室では100箇所以上のカメラで監視しており、職員は2交代制で24時間勤務。年間約30日程度のメンテナンス期間を除き、稼働を継続している。中央操作室には職員の写真が掲示され、資格取得に積極的な様子が記載されていました。
ごみは“毎日のインフラ”、限界が来る前に設計を変える
食品ロス(フードロス)は“捨てる前に出ている廃棄物”
日本の食品ロス(本来食べられるのに捨てられる食品)は、2023年度(令和5年度)の推計で約464万トンと公表されています(家庭系 約233万トン/事業系 約231万トン)。
この数字を「ごみ問題」として見ると、“捨てる場面”だけに目が向きます。しかし「資源問題」として捉えると、見え方が変わります。食品は、農地や水、肥料などの投入から始まり、加工・輸送・冷蔵・販売まで、食卓に届く前から多くの資源とエネルギーを使って成り立っています。捨てる行為は最後の一手ですが、そこで失われるのは食べ物そのものだけではなく、**そこに積み上がってきた“見えないコスト(資源・エネルギー)”**でもあります。
スーパーエコタウンの施設が扱うのは「捨てた後」の世界です。一方で、食品ロスに関しては本当の上流、つまり効果が大きいのは「そもそも捨てない」側の工夫です。買い方・使い切り・保存・適量調理といった行動が、リサイクルより前の段階で発生量そのものを減らし、資源の無駄を止めることにつながります。
出典:環境省 環境省② 政府広報オンライン
フードロスは「捨てた後」ではなく「そもそも捨てない」設計が効く領域です。
(※関連記事:フードロスの記事もあわせてご覧ください)
【捨てずに美味しく】大根の葉っぱ味噌汁からフードロスを考える
千葉県市川市 フリースタイル市川さん~フードパントリーで想いをつなぐ~
ごみ排出量は「年間数千万トン」規模=毎日“巨大な物流”
日本の一般廃棄物(家庭ごみなどの「ごみ」)は、国の統計で見ると**年間3,897万トン(2023年度)**にのぼります。これは単純平均すると、1日あたり約10.7万トンが排出されている計算です(同年度の1人1日当たり排出量は851g)。
ここで押さえておきたいのは、「捨てる」という判断が、その場で終わらない点です。私たちが日々出したごみは、すぐに回収され、集積され、選別され、焼却や資源化などの処理工程へと流れていきます。循環はポスターのスローガンではなく、毎日動いている物流と処理の仕組みとして回っているのです。
出典:環境省
リサイクルの効果は「資源回収」だけでなく「処分場の延命」と「事故の回避」
リサイクルの効果を「資源が戻る」だけで測ると、どうしても理想論になります。現場目線では、次の2つが同じくらい重要です。
- 最終処分量を減らし、処分場を延命する
- 危険物混入を減らし、火災や停止を防ぐ(停止=循環停止)
自治体資料でも、最終処分場の残余年数が減少する問題や、危険物の不適切排出が火災原因になる点が指摘されています。
循環を回すことは、実は「資源」よりも先に「インフラの維持」なのだと思います。
環境負荷ゼロは不可能だとして、私たちはどこで負荷を下げられるのか?
環境に優しく暮らしたいと思っても、現実には「環境負荷ゼロ」で生きることはできません。電気も水も、食べ物も、スマホも、必ずどこかで資源を使い、エネルギーを消費しています。
だからこそ大切なのは、完璧を目指すことよりも、負荷を“どこで”“どれだけ”下げられるのかを具体的に知ることです。
最後に、現場で見た課題を踏まえると、私たちができることは難しいことよりも「混ぜない」「長く使う」の徹底だと感じます。特に効果が大きいのは次の3つです。
捨てる前に回収ルートを一度確認する(店頭回収・家電リサイクルなど)
電池・ライター・スプレー等の危険物を混ぜない(火災や事故の原因になります)
出す前に“自治体ルール通り”に分ける(迷ったら無理に自己判断せず、ルールに合わせる)
「環境負荷は避けられない」で終わらせない──問題は“無駄に捨てている負荷”
「生きていく以上、環境負荷は避けられない」という言葉は正しい反面、そこで思考が止まると免罪符になりがちです。
現場を見て思ったのは、問題の本質は“負荷があること”ではなく、**負荷が「無駄に捨てられていること」**だという点でした。
たとえばフードロスは、その典型です。食材は生産から輸送、加工、冷蔵、販売まで多くのエネルギーを使いながら、最後に「食べられるのに捨てる」という形で負荷がそのまま廃棄されます。
また、リサイクル工場での危険物混入(バッテリーやライターなど)や、分別不足による不適物の混ざりも同じです。本来資源として戻せるはずのものが、事故リスクを増やし、処理工程を複雑にし、最終的には燃やす・埋める側に押し出されていきます。
環境負荷の議論は「ある/ない」ではなく、無駄に捨てている負荷を減らせるかに焦点を当てるべきだと感じました。
循環は「捨て方」より前に「買い方・使い方」で決まる──生活設計としてのサーキュラー
ごみの現場に行くと、分別やリサイクルの重要性はよく分かります。ただ同時に、それ以前の段階で勝負が決まっている場面も多いと感じました。つまり、循環は「捨て方」だけでなく、むしろ**「買い方・使い方」で決まる**ということです。
- そもそも壊れにくい、直せる製品を選ぶ
- リユース・修理・中古を、当たり前の選択肢として持つ
- 「便利だから買う」の前に、置き場所や処分まで想像する
これらは道徳の話というより、生活設計の話です。
買った瞬間に「いつか必ず捨てるもの」が増える以上、入口(購入)での判断が、最終的な廃棄量にも、循環のしやすさにも直結します。リサイクルは大事ですが、リサイクルに頼らなくて済む時間を伸ばすことの方が、結果として負荷は下がりやすいと感じます。
「分別は善意」ではなく「現場の安全と循環率を左右する入力品質」──あなたの分別が循環を止めることもある
分別は「マナー」「意識の高さ」として語られがちです。しかし現場を見て一番刺さったのは、分別が“善意”ではなく、処理工程にとっての**入力品質(インプットの品質)**だという点でした。
入力品質が悪いほど、現場では次のことが起きます。
- 手選別が増え、人手とコストが増える
- 不適物が混ざることで再生原料の品質が落ちる
- 危険物混入は火災などの事故リスクになり、施設停止につながる
- 結果として循環が止まり、燃やす・埋める側に寄っていく
タケエイで聞いた危険物混入の話、フューチャー・エコロジーで見た人の手による分解、J&T環境で語られていた残渣を限りなくゼロに近づけたいという姿勢。これらはすべて、「入口の品質」に強く依存しています。
つまり、私たちの分別は“気持ち”ではなく、現場の安全と循環率を左右する具体的な条件なのだと思います。
環境負荷ゼロを目指すのではなく、負荷が「無駄に捨てられる」ポイントを減らす。
買い方・使い方で廃棄を減らし、捨てるときは入力品質を上げて循環を止めない。
この3点を意識できるだけで、サーキュラーエコノミーは遠い概念ではなく、日々の生活の選択として立ち上がってくるはずです。
あとがき
ライターのあおやんです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回はリサイクルをテーマになりました。
令和になって両津が言っていることが現実になっていることが多々見受けられます。
秋本先生はどれだけ未来を見えていたのか。

※ChatGPTにサポートしてもらい記事を製作しました。
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