NPO法人竹もりの里:竹林整備から資源の有効活用へ

NPO・地域団体の活動

「竹が増える」の話ではなく、「出口がない資源は問題化する」

今回は千葉県長生郡のNPO法人「竹もりの里」さんが開催する竹林整備ボランティアに参加し、竹を切る作業だけでなく、切った竹がどう資源化されていくのか(あるいは、なぜ資源化が難しいのか)まで見学してきました。結論から言えば、竹林整備は「自然を守る良いこと」だけで完結しません。伐って終わりではなく、伐った後の流れを設計できているかが、活動の継続性を左右します。

放置竹林の話題は、つい「竹が増えて困る」という入り方になりがちですが、竹は、いま日本の各地で「管理する人が減る」「使い道が細る」「それでも伸びる」という条件が重なり、問題化しやすい素材になっています。だからこそ、現場の手入れと同時に“出口”をつくる活動に触れることは、竹だけでなく、私たちの暮らしにある資源の見方を更新してくれます。


竹害とは:成長と拡大のスピードが、管理の手を追い越す

竹の生命力は凄まじく、特にモウソウチクは成長期に1日で1m前後伸びる例が知られています。さらに、竹は地下茎(根のように横へ伸びる茎)で広がり、境界を越えて住宅地や道路沿いへ侵入することもあります。見た目は「林」でも、広がり方は“地下で増える植物”なので、放置が続くと止めづらいのが厄介です。

加えて、竹林は根(地下茎を含む)が比較的浅い層に集中しやすいとされ、斜面の安定との関係が研究されています。竹林が斜面安定に与える影響を扱った研究や、豪雨時の崩壊との関係を検討した報告もあります。もちろん土砂災害は竹林だけで決まるものではなく、地質・地形・雨量・人工改変など複合要因です。

NPO法人 竹もりの里

今回の竹林整備の会を主宰する竹もりの里は、千葉県長生郡長南町を拠点に、竹林整備(伐採・搬出)だけでなく、伐った竹を“資源として循環させる”出口づくりまで取り組んでいる団体です。竹の買取、竹炭や竹粉(パウダー)への加工、コンポスト資材、工芸・ワークショップなど、竹を「厄介もの」から「地域資源」へ戻すためのメニューを複数持っているのが特徴だと感じました(団体サイト http://takemori.org )。

ボランティアの様子:切る/運ぶ/分ける——“出口”へ渡す前工程

当日は、理事長から最初に説明があり、参加者は20人ほど。子どもたちの姿も見えました。新規参加は私ともう一人で、その方は「自宅にも竹が生えていて、伐採の方法を学びたい」と自己紹介されていました。現場には竹もりの里が設置したバイオトイレもあり、屋外作業の不安を減らしてくださる取り組みが嬉しいです。

作業は班に分かれて開始。今回の竹林(千葉県長生郡長柄町)は、半分が公共、半分が地元の方の土地だそうです。新規チームは、まず「切るべき竹」のレクチャー。黄色く枯れ始めた竹を中心に倒し、トラックに積める長さに切り分けたり、笹葉が多いものなどを仕分けしていきます。

完全に黄色い竹は比較的軽いのですが、まだ青みが残るものは重く、重いものだと50kg級になることもあると聞きました。初心者の私は里山の奥深くまで入る作業はなかったものの、息が上がり、体力を使います。これを日常的に管理している方の負担は大きく、特にご年配の所有者にとって継続が難しいのは想像に難くありません。放置竹林が増える背景に、体力・時間・人手の限界があることが見えてきます。

午前の作業が終わると、カレーをご用意いただき、竹のお皿でいただきました(大人500円)。外で食べるご飯が美味しいのはもちろんですが、ここでも“竹が道具になる”感覚が一回入るのが大事だと思いました。竹は「切って捨てるもの」になった瞬間にコストになりますが、「使うもの」になった瞬間に意味が戻ります。

午後は竹ぼうき作りの体験へ。初参加の方と話すと、お庭の竹は生え始めの時期に本当に一日1m近く伸びることがあり、毎日見回ってタケノコを踏んで折る、という管理をされているそうです。見落とすと一気に大きくなる。管理の難しさは“やった人だけが知っている”領域でした。

竹の駅ちょうなん(拠点)で見えた「出口の設計」

作業後、竹もりの里の拠点「竹の駅ちょうなん」へ移動しました。幼稚園跡地を市から無償で借りているとのこと。ここでは集めた竹を粉砕したり、にしたり、出口へつなぐ加工を行っています。竹の買取も行っており、目安として1kgあたり10円で買い取る仕組みもあるそうです(こうした“値段がつく出口”があるだけで、所有者が動ける理由になります)。

  • 竹炭:2.5トンの原料から600kgほどの竹炭ができる、という話が印象的でした。竹炭は消臭など生活用途のほか、土壌改良材としての需要もあるそうで、農家さんや街路樹の管理業者から問い合わせが多いとのこと。
  • 竹コンポスト:粉砕した竹に米ぬかを混ぜ、生ごみ処理のコンポストとして使う仕組みも見せていただきました。ちょうどカレーの黒おこげを入れる場面で、実演をしてくださいました。話では、だいたい1週間ほどで目立たなくなるとのこと。家庭の生ごみ処理は「面倒」が最大の敵なので、早く消える=続けやすいは、出口設計として強いですね。組み立て式キットも販売されていました。
  • 竹のワークショップ:子どもでもできる工作から日用品まで、竹を素材にした工芸の教室も実施しているそうです。
  • バイオプラスチック(UNI-PELE):竹を素材の一部として活用する取り組みとして、企業とタイアップし、竹配合の植物由来樹脂「UNI-PELE(ユニペレ)」も紹介されていました。抗菌性やCO2削減に関する説明があり、素材としての出口が“日用品の世界”へつながっているのが面白いところです(企業ページ:https://uni-project.co.jp/pages/unipele.html )。

ここまで見てくると、竹は「増えるから悪」ではなく、出口が弱いと悪に見える素材だと分かります。竹に限らず、分別されずに捨てられるもの、回収されても使い道が細いものは、同じ構造で“問題化”します。では、竹の現状はデータ上どうなっているのでしょうか。

竹のデータ:面積、成長速度、そして日本に根付いた理由

ここでは、竹害を「感覚」ではなく「数字」から押さえましょう。

  1. 竹の成長速度(成長期)
    モウソウチクなどは成長期に1日で1m前後伸びる例が紹介されています。林野庁の解説では、成長の速さを示す具体例も掲載されています。
    出典:林野庁「竹の性質」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take/seisitu.html
  2. 竹林面積の推移(全国)
    竹林面積は長期的に増加傾向が指摘されます。少し古いデータですが2018年の林野庁のデータでは千葉県は全国で7位の竹林面積。
    出典:林野庁 https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take-riyou/attach/pdf/index-3.pdf
  3. 斜面・土砂災害リスクとの関係(研究)
    竹林の地下部が斜面安定に与える影響や、豪雨時の崩壊との関係を扱う研究があります。結論は単純ではありませんが、少なくとも「竹林=安全」とは言い切れず、土地条件や管理状況によってリスク評価が必要だ、という方向性が見えます。
    砂防学会の論文 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sabo/70/1/70_3/_article/-char/ja/
  4. そもそも、なぜ竹が日本に根付いたのか

    ・気候が合う
    日本は温暖湿潤で降水量も多く、竹が育ちやすい条件が揃っています。とくにモウソウチクやマダケは人里近くでもよく育ち、山の縁(里山)と相性が良いのです。

    ・成長が速く、更新が早い
    木材は育つのに年単位〜十年単位。竹は育ちが速く、日常品の素材として“回転”が効く。保存・流通が弱い昔の暮らしは「毎年手に入る材料」が重宝されました。

    ・加工が簡単(道具が少なくて済む)
    竹は割れる・しなる・軽い。ノコギリとナタがあれば、割る → 曲げる → 編む → 結ぶができる。高度な製材機がなくても、生活道具に落とし込めるのが決定的でした。

    ・“里山管理”とセットで回っていた
    竹林は放置すると荒れる一方、定期的に伐る文化があると資源として安定します。昔は燃料・農業・建材・生活道具で竹の需要があり、結果的に竹林も管理されていました。今はこの需要の輪が弱くなった。

竹に閉じず、「出口が弱い資源」を見落としていないか

ここまで読むと、「竹林を整備しましょう」「竹製品を買いましょう」と言いたくなるかもしれません。ですが、今回のゴールはそこではありません。“資源なのに出口が弱いと問題になる”という構造を、竹以外にも当てはめて考えてみることです。

たとえば、身近で同じ構造が出る資源は他にもあります。きちんと分別するだけでゴミが資源に変わります。

  1. 落ち葉・剪定枝(都市の“緑の副産物”)
    公園や街路樹の手入れで大量に出ます。分別や受け皿が弱いと「ただの処理物」になりがちです。
    出口:堆肥化、マルチング、バイオマス、地域の土づくり
  2. 生ごみ(家庭の資源だけど最も嫌われる)
    水分が多く、混ざると厄介。でも分ければ堆肥化やエネルギー利用の余地があります。
    出口:コンポスト、メタン発酵、飼料化
  3. 古紙・段ボール(資源化の優等生にも落とし穴)
    回収ルートがある一方、汚れや混入があると価値が下がり、回収側の負担になります。
    出口:分別品質が命(“出口の要求仕様”の教材になる)
  4. 廃食用油(実は価値が高い)
    適切に集めれば燃料などに使えますが、家庭からは回収が難しく“流れてしまう資源”です。
    出口:SAF/バイオディーゼル等(規模の出口)
  5. 使用済み小型家電(都市鉱山)
    金属資源の塊ですが、分別・回収・情報管理(データ消去)など、出口までの設計が必要です。
    出口:レアメタル回収

ここで一つだけ、あなたに投げたい問いがあります。
竹やごみの分別以外にも、あなたの身の回りで「捨てているけれど、本当は資源になり得るもの」を見落としていないでしょうか。
そして、もしそれが“資源”だとしたら、問題は「存在」ではなく「出口の設計」ではないでしょうか。

竹もりの里の現場は、竹林整備という汗のかく作業と同じくらい、伐った竹を炭にする、粉にする、コンポストにする、素材として企業と組む——そうした出口の束を用意することに力が注がれていました。
資源を資源のままにしておくには、「分別」だけでは足りません。出口が強いほど、現場の努力は“問題処理”から“価値づくり”へ変わります。 次にあなたの暮らしで、その出口が弱い資源は何か。そこから考えてみるのも、環境との付き合い方を一段現実的にしてくれるはずです。

あとがき

ライターのあおやんです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。

今回は体を動かす取材でした。
めちゃくちゃに疲れたけど、気持ちよかったです!
セーター来ていられないくらい、暑くなって。
体動かす系の取材は定期的にやっていきたいですね(*’ω’*)

※ChatGPTにサポートしてもらい記事を製作しました。

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