にぎわいと課題
世界中で問題となっている「オーバーツーリズム」。観光客の急増が地域の生活や自然環境に影響を及ぼす現象です。千葉・成田山新勝寺でも、観光と地域の暮らしのバランスが課題になっています。
本記事では、成田山で聞いた現地の声を紹介しつつ、京都・富士山・鎌倉など他地域の事例とあわせて「持続可能な観光」へのヒントを探ります。

データで見るオーバーツーリズム
オーバーツーリズムとは、観光客が過度に集中することで、地域住民の生活や自然環境、観光体験そのものに悪影響を及ぼす現象を指します。住民の暮らしの質が下がったり、文化や環境が破壊されたりすると、観光地としての魅力も損なわれてしまうのが問題です。
- 訪日観光の拡大
2024年には訪日外国人が約 3,687万人 に達し、前年比47.1%増の過去最高を記録。観光消費も伸びており、国内では観光回復の勢いが顕著です。世界経済フォーラム - 観光の地域集中
宿泊者数においては、東京都・大阪府・京都府・北海道・福岡県の5都府県で全体の約73%を占めるというデータもあり、観光需要の“偏り”が浮き彫りになっています。世界経済フォーラム - 混雑感覚:住民・業務関係者側
リクルートじゃらんの調査では、観光関連従事者の約6割が、日常生活圏および業務圏で「混雑を感じている」と回答。また、混雑による悪影響を実感している割合も同様に高く出ています。(c) Recruit Co., Ltd.+2jrc.jalan.net+2 - 旅行者側の体験としての混雑
訪日客調査では、旅行中に「観光地・観光施設の混雑」を見聞きした経験があると答えた人が約3割いたという結果も出ています。トラベルボイス
また、旅行費などの高騰感とともに「以前より観光地が混雑している」と感じる人は 64.7% にのぼるという調査もあります。トラベルビジョン - 地価への波及効果
観光客数の多い “スーパースター都市” では、観光の増加が地価を押し上げる傾向があるという研究も報告されています。特に、観光客上位 5.9% の自治体で明確な地価上昇が見られるという結果が示されています。arXiv
👉 観光客の増加と地域の持続可能性のバランスが、世界共通の課題になっています。
生活環境への影響:家賃高騰・交通渋滞・ごみ問題
自然環境への影響:登山道や景観の破壊、生態系への負荷
地域文化への影響:住民の生活リズムや祭りの存続に支障

成田山で聞いた現地の声
- 成田ボランティアガイドの会
成田山を訪問時、境内にあった案内所でお話をお聞きしました。
基本的には成田さんエリアで申告なオーバーツーリズム被害はないとのことで、観光客が増えていること自体には前向きな印象を持たれているようでした。『ただ5年10年先にもしかしたら問題が起こる可能性がないとも言えない』と昨今の外国からのお客様の増加を感じている様子でした。
そうこう話している最中に別の職員さんも加わってくださり『チップをドルで払おうとする人がいて、ドルで渡されても使えないしねぇ』と困惑されているところも見受けました。
- クレープ店『たばねのし』さん
こちらでも外国からのお客様はポジティブな受け取り方です。マナーが悪いと感じることも少ない様子。『イートインなどで日本人は自分でゴミを片付ける人が多いが、海外の方は残してしまうことも』『【抹茶】というちょっと日本独特の単語を覚えて話すお客様もいらっしゃる』とこんなお話もお聞きできました。日本語を覚えてライにしてくださるのは嬉しいですよね。

👉 現地では“大きな混乱”よりも“文化の違いによる小さな摩擦”が中心。しかし一方で、国際交流の温かさも感じられます。この日はイベントがあり混雑をしていましたが、私は見た中で割り込むような海外の方もいないように見受けました。ちゃんとパレードがひと段落するまで場を楽しんでという様子です。
京都や富士山、鎌倉など他地域の深刻な事例
【京都】
京都は世界有数の観光都市であり、歴史ある寺社や街並みに国内外から多くの観光客が訪れています。しかしその急増が、市民の生活に大きな影響を与えています。観光民泊の拡大により家賃が高騰し、地元住民が住みにくくなる問題が顕在化しました。また人気の観光スポット周辺では交通渋滞や人混みによって日常生活が妨げられることも少なくありません。
こうした課題に対して京都市は、観光客の分散を目的に夜間拝観や郊外の観光資源のPRを進めると同時に、交通需要管理の実証実験を実施。ICTやAIを使って人と車の流動を分析し、渋滞を減らす試みを行っています。
実際、京都市の観光客数は2023年にはコロナ前水準に迫る一方で、渋滞緩和策や分散化施策の効果はまだ限定的とされており、さらなる改善が求められています。観光と生活の共存をどう実現するか、今も議論が続いているのが現状です。
【富士山】
日本を象徴する観光資源である富士山も、近年オーバーツーリズムの影響を強く受けています。夏の登山シーズンには登山道が渋滞し、自然環境の破壊やゴミ問題が深刻化しました。こうした状況を受け、2024年からは入山規制や入山料の徴収、午後2時以降の無宿泊登山の禁止などが導入されています。
この規制によって、弾丸登山が大幅に減少し、山梨県側では約9割減ったと報じられています。さらに静岡県側では2025年のシーズン、死者ゼロを達成。救助要請も前年より約4割減少しました。これは規制が一定の安全効果を発揮している証拠といえます。
一方で登山者数自体は依然として多く、人気の衰えは見られません。規制によって「危険の抑制」と「環境保護」は進みつつありますが、完全な解決には至っていないのが現状です。富士山の事例は、観光資源を守るための規制導入が一定の成果を出し得ることを示すモデルケースとなっています。
【鎌倉高校前(スラムダンク聖地)】
アニメ『SLAM DUNK』のオープニングに登場した鎌倉高校前の踏切は、国内外からファンが集まる人気スポットです。私自身も日の出の時間に訪れ、同じ構図で写真を撮ったことがあります。その時は車通りが少なく危険は感じませんでしたが、行為そのものは他の観光客と同じであり、時間帯や人数が違えば大きな混雑や危険につながる可能性があると気づきました。
鎌倉市ではこうした課題に対応するため、混雑期には江ノ電沿線住民を優先入場させる実験を実施し、待ち時間を平均14分短縮する成果が得られています。また交通誘導員の配置や多言語での注意喚起、撮影マナーの啓発も進められています。
自分の体験を通じてこそ「なぜ人が集まるのか」「なぜ安全対策が必要なのか」を実感できました。今後も専用の撮影スペースや持続的な啓発を進めることで、楽しさと安全を両立させる工夫が求められています。
成田で活動する団体の力
成田山新勝寺や表参道では、地域の人々が観光客を支えるためにさまざまな取り組みをしています。
- 成田ボランティアガイドの会
成田山新勝寺や参道の案内、文化解説を行い、訪日客に日本文化を正しく伝える活動。
☛ 成田ボランティアガイドの会

- 地域商店・飲食店(例:たばねのし)
言葉の壁を越えて観光客と交流し、国際的なおもてなしを実践。地域経済を支える。
☛ 成田市観光協会
全国規模で頑張る団体の取組
成田だけでなく、全国レベルでもオーバーツーリズムや持続可能な観光に取り組む団体があります。
グリーン・デスティネーションズ
国際認証団体。日本からはニセコ町などが参加し、観光資源の持続可能性を評価。
☛ Green Destinations
日本観光振興協会
全国の観光地と連携し「持続可能な観光地域づくり」を推進。
☛ 日本観光振興協会
ジャパン・サステナブルツーリズム・スタンダード(JSTS-D)
日本版の持続可能な観光基準を策定。世界基準(GSTC)とも整合性。
☛ 観光庁 JSTS-D
日本政府観光局「サステナブルツーリズム推進本部」
データ活用や混雑緩和を通じて観光の質向上を目指す。
☛ 観光庁 サステナブルツーリズム
私たちにできること
- ゴミを持ち帰る・拾う(住民も観光客も意識を共有)
- 観光資源を守る寄付やボランティア参加
- 時間帯や季節をずらした訪問で観光地を分散させる
これらの取り組みは、
- SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」
- 目標12「つくる責任 つかう責任」
- 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
に直結します。
おわりに
成田山ではまだ深刻なオーバーツーリズムは見られませんが、小さな摩擦は芽生え始めています。鎌倉や京都、富士山のような事例を踏まえ、今のうちから「どう共生していくか」を考えることが、未来の観光を守る第一歩になるでしょう。
あとがき
あおやんです。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回も身近な観光地に足を運んで様子を見てきました。
この日は前回のフェアトレードの時と二本撮りです📷
偶然、成田伝統芸能祭り~秋の陣~をやっていました、迫力の山車をみることができてラッキーでした。
何年か前に訪問した時と比べて海外からの人は増えているなと感じました。
それもアジアだけというようなこともなく様々なエリアの方がいらっしゃいました。
地元は観光でもちろん潤うのでしょうから、うまく付き合っていく頃が大事なんでしょうね(小並感)。
今回もChatGPTに手伝ってもらい記事を製作しました。
私はNFTを制作しており、ご購入いただいた収益の一部を寄付に使わせていただいています。送金先はご購入いただいたNFTの種類によってと考えています。
ぜひこちらものぞいてみてください。
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